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ある人が体験談を披露してくれた。イギリスの空港で腰掛けて待っていたときのこと。向かいに日本おばさん二人がかけていた。一人が荷物をおいて立ち上がってどこかに行った。そのとなりは空席。そこにイギリスおばさんが二人来た。二人並んで座りたいのだろう。日本おばさんに尋ねている。荷物のおいてある席が __(76)__ か聞いているらしい。日本おばさんが何か言ったが通じない。イギリスおばさんは「アイ ベッグ ユア パードン」と言った。そしたら日本おばさんは、ゆっくり、はっきり、日本語で「こ、こ、き、ま、す。」と言ったのだそうだ。ちゃんと通じて、イギリスおばさん二人は、荷物のそばの空席と向かいの空席に分かれて座ったそうだ。
相手の分かることばを無理に使う必要はないわけだ。
そういえばモスクワのトレチャコフ美術館に行こうとしたときに、似た経験をした。__(77)__ の地図では近いので、歩きはじめて、途中で気づいた。モスクワは大都市で、1ブロックがやけに大きい。歩くには遠すぎる。途中までのバスがないかと思い、バス停で身振り手振りと英語で尋ねてみた。通じる人はいないようだ。 __(78)__ 、中年女性が乗り出して、こちらの腕をとり、ゆっくりとロシア語で説明しはじめた。どうも道路の下をくぐり、向こうの橋を渡ると、斜めの近道があるらしい。建物の方向も分かった。「こちらはバスを探しているんだけど」と、とまどっていると、その中年女性は、もう一度ゆっくりと繰り返した。ロシア語の中身は __(79)__ だったが、道順はよく分かった。礼をねんごろに言って、歩いた。実に、実に、いい運動になった。
思えば、あの話し方はどうも、だだをこねている子供(=筆者!)に、「こうすればいいのよ」と辛抱強く __(80)__ 調子に似ていた。
外国人向けの話し方をフォリナートークという。幼児向けのベビートークと似た点がある。外国人と子供はよく言語行動面で同じように扱われるが、その典型だ。
外国語教師に女性が多く、その教え方が上手だとしたら、母親としての言語行動を、若いときから、身につけていたせいだろう。要するに学生は赤ん坊扱いなのだ。
【井上史雄『ことばの散歩道』(明治書院、2013)より】
どうも道路の下をくぐり、向こうの橋を渡ると、斜めの近道があるらしい。建物の方向も分かった。「こちらはバスを探しているんだけど」と、とまどっていると、その中年女性は、もう一度ゆっくりと繰り返した。ロシア語の中身は(79)だったが、道順はよく分かった。
Aかんぷんちんぷん
Bちんぷんかんぷん正確答案
Cぷんかんちんかん
Dぷんちんかんちん
答案與詳解
